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取引コストは、合計で比べる。

「手数料なし」だけでは、取引にかかる費用は分かりません。スプレッド、売買手数料、保有中の費用を分けて、同じ取引量の金額へそろえてみましょう。

買う価格と売る価格は、ひとつではない

取引画面には、売るときの価格(Bid)と買うときの価格(Ask)が表示されます。この差がスプレッドです。同じ時点で買ってすぐ売ると、相場が動かなくても価格差の分だけ不利になります。注文画面に売買手数料が0と表示されても、この価格差がなくなるわけではありません。

下の例では米ドルを150.020円で買い、同時点の150.000円で売ると、1米ドルあたり0.020円の差があります。10,000米ドルなら200円です。実際には価格変化や約定差が加わるため、この図は価格差の仕組みだけを切り出しています。

図で理解する2つの価格の差が、スプレッド
Bid · 売る価格150.000円
Ask · 買う価格150.020円
価格差 0.020円 × 10,000米ドル = 200円

仮定値:USDJPY、価格変動なし、別途手数料なし。現在のレートではありません。

pipsは、そのまま円ではない

pipsは値幅を表す単位です。ここではUSDJPYの1pipを0.01円と仮定します。このとき10,000米ドルの取引では、1pipの値幅は100円です。同じ2pipsでも取引数量が10倍なら、金額の差も10倍になります。表示桁数のいちばん右の数字を無条件で1pipと読まないことが大切です。

通貨ペアや商品によって値幅の呼び方・定義は異なります。まず銘柄仕様で単位を確認し、「価格差×数量」で決済通貨の額を求めます。口座通貨と異なる場合は換算も必要です。GOLDなどのCFDへ、通貨ペアのpip換算をそのまま流用しないでください。

スプレッドと往復手数料を足してみる

比較するときは、同じ銘柄・数量・通貨・時点をそろえます。手数料の表示が片道なら、同額が新規と決済の両方にかかる仮定では2回分を足します。最初に往復分をまとめて徴収するケースなど、請求方法と費用の対象は分けて確認しましょう。

図の架空の口座Aはスプレッド相当額200円、別途手数料0円。口座Bはスプレッド相当額80円、片道70円の手数料を2回とすると合計220円です。Bはスプレッドが狭くても、この仮定では合計額が大きくなります。実在の口座の優劣を示す比較ではありません。

図で理解する狭いスプレッド ≠ 小さい総コスト
スプレッド相当額往復手数料
架空の口座A合計 200円
スプレッド 200円 + 往復手数料 0円
架空の口座B合計 220円
スプレッド 80円 + 往復手数料 140円

共通スケール:0〜250円

仮定値:USDJPY 10,000通貨、1pip=0.01円。A 2pips、B 0.8pips+片道70円。保有費用・換算・約定差を除く。

保有時間と資金移動で、別の費用もある

新規と決済だけを比べる場合と、日をまたいで保有する場合では、見たい費用が変わります。スワップなどの保有に伴う調整額は、支払いか受取りか、適用時刻、計算単位を確認します。受取りを見込んでいても、将来の条件が同じとは限りません。

また、口座通貨への換算、入出金、その他の維持条件に費用があれば、取引コストとは別の欄で整理します。一回の入金手数料を全注文に重複して足すと比較がゆがみます。「1取引の費用」「保有中の調整」「資金移動の費用」の3つに分けると見落としを防げます。

費用を整理する3つの箱
場面見るもの単位の例
新規・決済スプレッド、売買手数料価格差、片道/往復、取引量
保有中スワップ等の調整1日、適用時刻、買い/売り
資金の移動・維持換算、入出金、維持条件1回、通貨、発生条件

「最小値」と実際に払う額を分ける

最小スプレッドは、いつでもその条件で取引できるという意味ではありません。平均値を見る場合も、集計期間、時間帯、対象銘柄、口座タイプが分からなければ比較の前提がそろいません。数字の横に小さく書かれた注記まで含めて確認します。

注文時に見た価格と実際の約定価格が異なることもあります。その差はスリッページと呼ばれ、有利にも不利にも働き得ます。スプレッドだけを調べて約定の差を無視したり、過去の数回の結果から常に同じ費用になると考えたりしないでください。

履歴を読むときも、二重計上に注意

取引履歴では、約定価格、数量、手数料、スワップ、口座通貨を分けて見ます。買値と売値から計算した損益には、通常その価格差の影響がすでに含まれます。そこへ同じスプレッドをもう一度費用として引かないようにしましょう。

一方、約定前に条件を比較するための概算では、価格差に相当する費用と別途手数料を分けて積み上げる方法が役立ちます。「事前の概算」と「決済後の実績」を同じ表で混ぜないことが、正しく振り返るコツです。

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